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兵庫県立東洋医学研究所・同附属診療所

東医研だより

第2号 2007年7月1日 兵庫県立東洋医学研究所


今年の目標は、「病院内に開かれた東医研」

東医研だより第二号をお届けします。四月から定年退官された長瀬先生にかわり西森が副所長と東洋医学の科長になりました。精神科出身の森田吾郎医師も新メンバーに加わり東医研は若返りです。

内田所長のもと藤原新院長から心強い応援をいただき、他科治療中の方々が東洋医学を同時に受療可能という尼崎病院の特性を生かした「総合病院の中の東洋医学」を進展させてゆきます。

外来Aブロックと東洋医学研究所を隔てているガラスの壁に、ベッドが通る扉が開くことになりました。外気や雨風にあたることなく移動が可能になり、鍼灸受療の際の身体負担を減らすことができます。

「新生東医研」をどうぞよろしくお願い申し上げます。

兵庫県立東洋医学研究所副所長 西森婦美子


中国最古の医書である素問の異法方宣論に「石乏 石 *1)ハ東方ヨリ来リ、毒薬ハ西方ヨリ来リ、灸炳ハ北方ヨリ来リ、九鍼ハ南方ヨリ来リ、導引按キョウハ中央ヨリ出ヅ」という章句があります。これは古代中国の各種の医方の特色と由来とを述べたものと解されています。鍼灸・漢方が同時発生したものでなく各地で発生してまとまっていったと思われます。

日本へは、6世紀頃大陸から朝鮮半島をへて伝わったとされています。日本医学史によると、「562年呉の人知聡が薬書・明堂図2)を携えて来日」と記載があります。

薬書・明堂図がもたらされてから約1500年、その間に日本独自の発展を遂げ、伝統医療として国民に強い支持を受け現在に至っています。

*1)石乏 石;古代の石鍼のこと「薬石効なく・・」の石はこの石鍼を指しています。
*2)明堂図;経絡・経穴図(ツボ図)のこと

鍼灸の道具箱

円皮針について− 鍼灸の名脇役(時には主役) −

円皮針は、画鋲のような形状をした針でリング径2mm、針の太さは0.22mm、長さは1.1mmのもので主に鍼灸治療の後に、もう少し刺激を加えておきたいと思う時に使います。

体のこりの部分(硬結)や圧痛点などに持続的な圧刺激を与えるものです。こんな小さな鍼の刺激で効くのかと不思議ですが、的確なポイントに付ければ効果的に働きます。

刺激するポイント(ツボ)によっては、つわりによる吐き気・嘔吐の軽減や、乗り物酔いの予防にも使えます。

最近ではスポーツ選手に用いて筋肉疲労の予防・軽減の研究もなされています。

吉田剛典


スイカの話

夏に美味しいものと聞かれれば何を思い浮かべますか。

例えば、不思議な模様の緑の球体で、鮮やかな赤い果肉に小さな種があり、蝉の音や縁側に良く似合う食べ物と言えば、グアバと真っ先に答える人は少ないでしょう。

西瓜食う娘の口の難しさ

好きな人を前にしてスイカをどう食べたら良いのか、恥じらう乙女心を江戸川柳が歌っています。すでに江戸時代にはスイカは庶民の夏の風物になっていました。世代を超えて誰もが夏の果物として思い浮かべるスイカ。

今回、この身近な果物を東洋医学の視点から眺めてみたいと思います。

以前、夏の石垣島でタクシーに乗ったとき暑いですねと運転手に声をかけると、大阪の夏はつらかったと思いがけない返事が返ってきました。

確かに、巨大なビルに囲まれた都会の夏は無数の冷房機が吐き出す暖気とアスファルトの照り返しで、過酷な季節になります。しかも湿気。インドから来た友人が音をあげたと、追い討ちをかけるように運転手は続けました。都会と地方で程度の差があるとはいえ、夏場の高温多湿が人の体調を狂わせることを誰しもが体験しています。いわゆる夏ばてです。

東洋医学では、夏の「暑邪」や「湿邪」が体の中に入り込んで、口渇や脱水症状を引き起こし、あるいは食欲を低下させたり、体を重だるく感じさせたりすると考えられています。そこで、この「暑邪」や「湿邪」を取り除くために、日々の生活の中で知恵と工夫がなされてきました。スイカはその目的にかなった食べ物だったのです。

果肉には多量の水分が含まれ、糖分、そしてビタミンやカリウムなどのミネラルが含まれています。いわば脱水を改善させる、飲む点滴であったのです。また、スイカにはシトルリンというアミノ酸が含まれており、これが利尿効果を高め、むくみをとる効果があります。更に、中医学では体の熱を冷やす作用があると謳われています。

皮は三瓜湯という名前の煎じ薬になり、やはり利水を目的に使われます。また種は西>瓜子と呼ばれ、中国では食用や漢方に使われています。 まさに捨てるところ無し!因みにスイカの黒い種を剥くと、白っぼい柔らかい実が隠れていてピーナッツに似た味がするらしい!さて、どうなのでしょうか。

このように、夏を癒してくれるスイカですが、やはり過食は禁物です。体を冷やしすぎ、かえって体調を乱すことがあるからです。冷飲食を慎むこと、東洋医学では養生の基本とされています。

東洋医学科 松川義純


編集担当

吉田剛典、監修 松田康平