東医研だより
新年のご挨拶
第4号2008年1月1日兵庫県立東洋医学研究所
未知と憧れの響きを帯びた21世紀が到来して8年目に入ります。当研究所付属診療所と隣接の尼崎病院を臨床の場とする我々の鍼灸・漢方は三千年の歴史を持つ中国医学の流れを汲んで東方の島国日本で独自の発達を続けている伝統医学体系です。体とこころをひとつながらに治療するという特性が、治療の担い手から受け手に伝わるのを実感する機会がこの数年増えてきました。外来臨床はもちろん、昨年は難治性の吃逆をはじめとする入院疾患の副病態の症状緩和に著効例が続きました。今年も総合病院の中の伝統医学治療部門としての役割に継続して力を注いで行きたいとおもいます。
東洋医学研究所副所長 西森婦美子
Q&A 中国、韓国、日本以外で鍼灸を行っている国はありますか?
日本・中国・韓国以外のどの国で実際に鍼灸が行われているかどうかについて、それ知る手がかりの1つとして、その国に鍼灸関連の組織や学術団体があるかどうかで見当がつきます。
世界鍼灸学会連合会(WFAS)という鍼灸の世界的な学術団体の連合組織が1987年に設立されました。その設立20周年記念大会が2007年10月20〜22日に北京で開催され、28の国と地域から2000人以上が参加したと報じられています。この組織に加盟している団体は、その国および地域で鍼灸に関連した活動を活発に行なっていると推測されます。
以下にその所属の国と地域を列挙します(但し、各国には多数の関連団体が存在します)。アイルランド、アメリカ、アルゼンチン、イタリア、インド、インドネシア、ウルグアイ、英国、エクアドル、エジプト、オーストラリア、オランダ、カナダ、韓国、コロンビア、シンガポール、スイス、スウェーデン、スペイン、スロベニア、中国、ドイツ、ドミニカ、日本、ニュージーランド、ノルウエー、パキスタン、ハンガリー、フランス、ブラジル、ベトナム、ベネズェラ、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、マレーシア、メキシコ、モロッコ(以上39の国と地域、1994年資料)
実際に鍼灸治療を行っている治療者は、国の事情によって異なります。例えば、EU諸国では主として医師(一部では、理学療法士も)が鍼灸治療を行っており、アメリカでは連邦政府による鍼灸の資格はありませんが、各州が独立しており、多くの州で鍼灸の開業免許が交付されることで、鍼灸治療が行われております。
1960年代、中国のはり麻酔が大きく報道されてから、鍼灸治療は世界から注目され、特に医療関係者の関心を誘いました。中国が各国との友好交流事業の1つとしてさまざまな鍼灸研修班を計画し、世界各国から多くの医師・医療関係者が訪中し、鍼灸研修班に参加して鍼灸治療を学びました。私たちの施設でも、医師および鍼灸師が鍼灸研修班に参加しております。このことも鍼灸治療の国際化に大いに貢献していると思われます。
次回は近年世界の鍼灸事情の予定
曽炳文
艾について(その1)
お灸に使う主材料は艾であり、原料は蓬(ヨモギ)です。お灸に使う主材料は艾であり、原料は蓬(ヨモギ)です。
ヨモギは草餅の材料にも使われますが、沖縄ではヤギ汁に大量に使われるようです。和製ハーブといったところでしょうか。
さて実際艾として使用するのは、ヨモギの葉の裏面の灰白色の毛のような部分(綿毛)で、これを取り出すために乾燥させた葉を細かく砕き、石臼でひき、篩にかける、という作業をくり返し余分な夾雑物を取り除いて上質な艾を作ります。荒もぐさは温灸用に、上質なもぐさは直接灸に用います。
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| (1)葉を乾燥させ細かく砕いた物 | (2)石臼で轢く | (3)できあがった荒艾 |
吉田剛典
元旦にはどんなお酒を飲みますか?
大晦日まではビールやワインも楽しいものですが、おせちに似合うのはやはり日本酒。さらに屠蘇酒があれば正月気分は一層晴れ晴れしいものになるでしょう。一人これを飲めば一家疾(やまい)なく、一家これを飲めば一里病なし。屠蘇は、邪気を屠(ほふ)り魂を蘇生すると言われ、年初にあたって長寿延命や無病息災を願う薬酒として尊ばれてきました。1700年ほど前の古代中国で創製され、平安時代にわが国の宮中に伝わりました。江戸時代には広く庶民にも浸透し、漢方医が新年の健康祈願のために患者に配っていたと言われます。屠蘇散には防風・桔梗・白朮・桂皮・陳皮など、風邪を払い、食欲を増し、気を巡らせる各種の漢方生薬が配合されています。それらの薬草を浸した屠蘇酒はまさに医食同源、健康を願う先人達の知恵が盃の中に脈々と息づいているのです。
東洋医学科 松川義純

命の尊厳といきる喜びを高めるというヒューマンケアの理念に基づき実施する「ひょうごヒューマンカレッジ」の一つとして、「伝統医学学習講座」が行われました。平成13年度から開催され今回7回目です。毎年講師の依頼があり今回も3講座(東洋医学を学ぶ・鍼灸の知識と体験1・2)を行ってきました。熱心な受講生が多く大変盛り上がりました。写真は講義風景です。
編集後記
皆様方のご健勝とご多幸をお祈りいたします。 補完医療・代替療法という言葉が使われだして久しくなりますが、治療の選択肢の一つとして、微力ではありますがお役に立てるよう努力して参ります。
吉田剛典
監修 松田康平
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