visiters since 2007/10  

兵庫県立東洋医学研究所・同附属診療所

東医研だより

第6号2008年7月1日兵庫県立東洋医学研究所


NHKTVで鍼灸治療が紹介される

ここだけの話・本音を語る(神戸弁バージョン) “東医研だより”愛読者の皆さん、NHKの教育テレビ「きらっといきる」で東医研の鍼灸治療が紹介されたんですけど、見ていただけましたでしょうか。5月9日にオンエアされ、再放送を含めて4回放送されたんです。ディレクターの話によれば、この放送回数の多さは異例とのことだそうです。

実はこのテレビ放送の話、テレビ局から患者さんを通しての依頼でしてね。いろいろと迷ったんですが取材に応じることにしました。と言うのは、もう長い歳月、私どもテレビの取材に縁がございませんでしたので、気分的にイケイケドンドンというかテンションを上げることができるか心の準備を考えんといけませんし、何よりも番組の趣旨も吟味せんとあきません。心配は「あの人は今・・・・・」的のうすら悲しい番組で東医研が紹介されることなんです。そんな番組でしたらもちろん“断固、お断り”申し上げます。私とてそれぐらいの矜持は、お寒い財布の中身と同じレベルしかありませんが、持ち合わせております。で、テレビ局に番組の意図を確認したのです。わかったことは“線維筋痛症患者のドキュメンタリー番組で東医研の鍼治療を紹介したい”ということでしたので、出演してもエエかな〜と考えたわけです。

4月10日、ディレクター、カメラさん音声さんが東医研に来られて午後2時に収録が始まりました。テレビの取材って結構ドキドキハラハラするもんですよ。テレビカメラの凝視、へちまマイクからの圧力、それらを感知した瞬間、頭の中が真っ白になってしまって考えていた言葉が浮かんでこないんです。50年も生きて悪態も吐いてきたのに、まだ私ってあまり肝がすわっていなかったんですね。自分の小ささを認識しましたわ。で、収録では鍼治療の作用メカニズムを説明せんとあかんのですけど、頭がボーとしてうまく説明ができんのです。何回も撮りなおしがあって、一つのコメントごとにテイクファイブ(5回)はやりましたよ。それで当初2時間の予定が3時間かかったんです。疲れました。ホント。NHKの皆さんが「かなり上手ですよ」となぐさめてくれましたが、気分は落ち込みましたね。それでも生来の切り替えの早さからでしょうか、収録が終了する頃には「あと5〜6回テレビに出演したら、何でも当意即妙にスラスラ話せるようになるんやけどな〜」と言っていましたわ。やはり私はあつかましいたちかなー、と少し思いましたね。

5月9日、放送を見てびっくり。3時間もかかって収録したのに東医研が映し出されたのはたった2分間ほど。労が多かっただけに“それはないで〜”とつくづく思ったしだいです。「あ〜しんどかった」。

谷村裕充


シリーズ 関節リウマチの漢方・鍼灸治療(2)

弁病と弁証 病の本態を漢方の立場から解明し病の特徴を押さえて治療方針を展開するのを「弁病」といいます。

従って西洋医学的メカニズムと「弁病」は完全イコールではありません。千年以上の長きにわたる臨床上の観察から漢方なりのある病気の解釈というものが積み重ねられており、「弁病」は現在もなお進化を続けています。

これに対し「弁証」は個々の患者さんがだすサインを漢方の考え方でとらえゆがみを論じ分類するものです。この証に基づいて治療するのを「随証治療」といいます。

一人一人でているサインは異なるのが普通ですので、テイラーメイドの治療と漢方治療が言われる所以です。診察時間効率は当然ながら悪いですが、うまく薬を合わせるのに成功すると「その効、神のごとし」というのは神話でもなんでもありません。日常的におこる現象です。

一般的には弁病と弁証を照らし合わせて総合的に判断を下し治療薬を決定してゆきます。(単なる体調不良であれば随証治療だけで事足りるわけです。)

関節リウマチは「痺証」

関節リウマチは「痺証」という名前で2千年前の書物にすでに記載があり時代が下るとともに新たな疾患認識が加わり治療戦略が多様化している疾患です。 前回リウマチが、単なる関節炎というのではなく

1.進行性で...数十年という長きにわたりじわじわ進行 2.慢性で...よくなったと喜んでいるとまた悪くなる 3.消耗性で...身体がしんどくなる 4.全身性で...関節だけでなく肺や心臓や全身の血管にも炎症がおこる 5.原因不明...いまだどう悪くなるのか、しかわかっていない

と書きました。各々の項目に対する漢方治療の特徴について述べます。

1.進行性2.慢性

おとなしいながらもじわじわ進む病には体にやさしい漢方薬治療がむいているというのは感覚的に理解しやすいとおもいます。

3.消耗性

現病態をどうこうするのではなしに、「しんどさを緩和する」という治療は漢方・鍼灸ではできるのです。西洋医学ではこの種のアプローチはやりません、得意でもありません。漢方薬は生命活動に不可欠な3要素(気、血、津液)を直接「補う」ことができるのです。

4.全身性

局所を治療する西洋医学と異なり、漢方薬治療は身体全体のバランスを整えていく、というのが治療法則の基本です。身体に余分なものがあればそれを、便、尿、汗にだす。こんがらがって滞っている余分なものの、もつれをほどき、カタマリをゆるめ、血(血流)や水(リンパ流)気(臓器機能の活性化)の流れをよくすることで、いらない余分なものを局所から運び去り、必要なものを届けるという治療こそが漢方治療のこころなのです。

5.原因不明

西洋医学的メカニズムが解明されていなくても、漢方治療では上にのべたアプローチで身体や心におこった「ひずみ」をじっくりととのえていくことができます。上に述べたように関節リウマチは「痺証」という名前で2千年前の書物にすでに記載があり時代が下るとともに新たな疾患認識が加わり治療戦略が多様化している疾患ですから、西洋医学的には原因不明であるけれども漢方治療戦略は多岐にわたります。(続く)

西森婦美子


編集後記 今回、紙面の都合上‘鍼灸の道具箱’‘医食同源’はお休みいたします。梅雨のまっただ中、雨に濡れたあじさいを眺めつつ、‘からっとした’晴天を待ちましょう。

吉田剛典
監修 松田康平